ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2026-J-6

AIエージェントによる契約の自動化:UNCITRALとELIによるモデル法を参考に

石岡佑太

AIエージェントと呼ばれる、ある目標や指示に対して自動的にタスクを決定、実行するAIが登場し、利用が進みつつある。今後、AIエージェントを利用して契約の締結や履行を自動化する取引が登場、拡大していくと考えられるが、こうした取引の過程でAIエージェントが当事者の予期しない行為を行うと、私法上の問題が生じる可能性がある。もっとも、こうした問題がわが国私法の規定や解釈によりいかに解決されるべきかは、検討の余地がありうる。一方、海外に目を向けると、近時、UNCITRAL(United Nations Commission on International Trade Law.国連国際商取引法委員会)とELI(European Law Institute.ヨーロッパ法律協会)が、AIを含む機械によって契約締結等の行為が自動化される場面に対するルールを、それぞれ提案している。これらは機械による行為の帰属先に関するルールや、予期しない行為のリスク分担に関するルールといった特徴的な規律を有しており、日本法上の論点を検討する上で参考となる。本稿は、主に意思表示を巡る論点を中心に、今後のわが国における議論の素材を提供すべく、両モデル法の規律やその背後にある考え方を整理・分析した上で、日本法に対する示唆について若干の検討を行う。

キーワード:AIエージェント、契約、意思表示、錯誤、UNCITRAL、ELI


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