ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2024-J-9

前払式支払手段をクレジットカードにより購入(チャージ)した場合の法律関係の整理

内山理映子、石岡佑太

キャッシュレス決済サービスの利用が進展する中、日本では、後払いであるクレジットカードを利用して前払式支払手段を購入(チャージ)する決済サービスが広く利用されている。前払式支払手段とクレジットカードの取引は、いずれも、サービスの提供者、利用者、加盟店の三者による決済サービスであるが、利用者があらかじめ資金を支払う前払式支払手段と、利用者が与信を受けて資金を後払いするクレジットカードでは、規律する法律が異なるほか、それぞれの取引の法律構成についてもさまざまな考え方があり1つには定まっていない。こうした状況のもとで、各決済サービスの提供者が破綻した場合、利用者、加盟店のいずれが損失を負担することになるか、利用者が不利益を被る可能性はないかといった点を検討すると、法律構成によっては、必ずしも利用者が保護されない可能性があることがわかった。利用者が不測の損害を負うことなく、安定して決済サービスを利用できるようにするためには、サービスの提供者・利用者・加盟店間の法律関係をあらかじめ明確にしておくことが肝要である。

キーワード:前払式支払手段、クレジットカード、抗弁の接続、キャッシュレス決済、資金決済法、割賦販売法、破産法


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