ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2023-J-10

量子計算の概要:ファイナンスへの応用を例に

石垣克明

近年、テクノロジーの発展に伴い高速計算の需要が高まる中、ミクロな物質の振る舞いや性質(重ね合わせ、干渉、量子もつれ)を演算処理に用いる量子コンピュータに期待が寄せられている。量子コンピュータによる計算(量子計算)の高速化は、従来型のコンピュータでは計算時間の関係で困難とされる問題を解決し得るため、ファイナンスをはじめ様々な分野への応用研究が行われている。こうした背景を踏まえ、本稿では量子計算とファイナンス分野への応用研究をサーベイする。具体的には、量子計算に関心のあるファイナンス研究者や実務家向けに、量子計算の仕組みや量子アルゴリズムについて解説し、金融商品のプライシング、リスク管理、ポートフォリオ最適化といったファイナンスの問題への応用事例を紹介するとともに、量子計算の実務適用の課題についても述べる。

キーワード:量子コンピュータ、量子力学、重ね合わせ、干渉、量子もつれ、量子計算、量子アルゴリズム


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2023 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム