ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2020-J-19

都市銀行・地方銀行の歴史的財務データ:明治期を中心に

山﨑翔平、小池良司

本稿では、わが国銀行の財務データを都市銀行・地方銀行ごとに1870~80年代まで遡及し、現在まで連続する長期時系列の整備を試みた。具体的には、都市銀行・地方銀行ごとに、貸出、預金、自己資本、有価証券の計数について、既存の歴史統計と個別銀行の歴史資料を用い、一部を試算しつつ遡及した。また、貸出変化率、預貸率、自己資本比率について、明治期を中心に概観した。貸出変化率は、都市銀行・地方銀行のいずれでも、松方デフレ期(1881~85年)は伸び悩み、続く1886~90年の企業勃興期には堅調に増加するなど、景気動向に沿った動きを示していた。預貸率および自己資本比率をみると、1880年代では都市銀行・地方銀行ともに自己資本を主な貸出原資とした財務構造が確認できた。加えて、1880~1920年頃にかけて、預金の増加と預金への貸出原資のシフトによる預貸率・自己資本比率の低下が都市銀行で先行する一方、地方銀行では十数年ほど遅れたことが確認できた。

キーワード:長期時系列、都市銀行、地方銀行、預金銀行化


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