ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2020-J-16

有価証券報告書のテキスト分析:経営者による将来見通しの開示と将来業績

加藤大輔、五島圭一

本稿は、有価証券報告書の「企業の経営方針・経営戦略や経営者による経営成績の分析(MD&A)」に含まれるテキスト情報の定量化を通じて、経営者によって開示された将来見通しが、将来の企業業績に対する予測力を有することを明らかにしている。これは、経営者が自主的に将来見通しを開示する媒体として、MD&Aが一定の役割を果たしていることを示している。また、同予測力については、業種による差異が確認されたほか、売上高の小さい企業ほど高くなる傾向も見出されている。この結果は、ディスクロージャーの充実度が企業の属性によって異なり得ることを示している。さらに、2018年に実施されたMD&Aの章立て変更に反応して、同予測力が、サービス業を営む企業において、他の業種に比べて高まったことも見出された。

キーワード:テキスト・マイニング、有価証券報告書、ディスクロージャー


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