ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2020-J-13

流動資産担保と自己資本比率規制

大和田将吾

現在、わが国では、在庫や売掛債権などを担保物とした流動資産担保にかかる法律関係の明確化等を目的に、担保法改正にかかる議論が進められている。国際的にみても、国連の機関であるUNCITRALが、各国の担保法改正の動きをサポートするべく、モデル法を公表している。こうした中、UNCITRALにおいて、仮に担保法を改正して流動資産担保利用の促進を図ったとしても、銀行の自己資本比率規制上、流動資産担保の信用リスク削減効果が限定であるため、担保法改正の効果が減殺される可能性を指摘する論文が公表された。同論文で指摘された点は、担保法改正を臨むわが国においても重要な論点となり得る。
本稿では、モデル法とバーゼル規制における担保の扱いについて取り上げた前記の論文の内容を紹介するとともに、わが国の担保法と自己資本比率規制の関係性について分析、考察を行い、足もとで進むわが国の担保法改正の議論に関する示唆を得る。

キーワード:集合動産譲渡担保、集合債権譲渡担保、バーゼル規制、UNCITRALモデル法、信用リスク削減手法、担保法改正


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