ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2019-J-9

中央銀行の国債保有と金利期間構造

宇野淳、戸辺玲子

日本銀行(日銀)による量的・質的金融緩和政策(QQE)が、国債市場の価格形成に与えた影響を特定期間選好(preferred-habitat)モデルに照らして検証する。日銀は2013年以降、国債買入規模の拡大、マイナス金利の導入、イールドカーブコントロールと政策の力点を移しつつQQEを継続している。一連の金融政策が金利期間構造に与えた累積効果を要因分解したところ、QQE導入・拡大期のイールドは、米国同様、個別国債とその周辺銘柄の日銀買入により押し下げられたというローカル供給効果が確認されたが、マイナス金利導入以降の期間では、銘柄別買入額とイールド低下の関係は薄れデュレーション効果が主要な要因となった。この結果は、米国の大規模資産買入に関する先行研究と異なる。日銀の国債買入が各時点で市場から大量に取得可能な新発債に傾斜していたためと推察される。

キーワード:国債市場、金利期間構造、量的・質的金融緩和政策、特定期間選好モデル


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