ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2018-J-11

金融政策アナウンスメントとアルゴリズム取引:ウェブページへのアクセス情報を用いた検証

熊野雄介、五島圭一

本研究では、金融政策アナウンスメントというニュース・イベントに焦点を当てて、アルゴリズム取引が外国為替市場に与える影響を分析する。最初に、金融政策決定会合の結果公表日における日本銀行のウェブページへのアクセス情報を基に、アルゴリズム取引の活発度合いを捉える新しい指標を提案する。次に、この指標を、金融政策決定会合の結果公表日における外国為替市場の日中の取引データと照らし合わせることで分析を行う。分析の結果、提案したアルゴリズム取引指標が、アルゴリズム取引の1つである「ニュース・トレーディング」戦略の活発度合いを適切に捉えられていることが確認された。そして、金融政策アナウンスメントにおいて、アルゴリズム取引が外国為替市場のボラティリティの上昇に寄与し、さらに、こうしたボラティリティの上昇を通じて、間接的に市場流動性の低下をもたらした可能性が示された。また、ANTは、文書の表面的な変化に反応している可能性が示唆された。

キーワード:アルゴリズム取引、金融政策、高頻度データ、外国為替市場、ニュース・トレーディング、マーケット・マイクロストラクチャー、アクセス履歴


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