ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2017-J-8

公開鍵暗号型の高機能暗号を巡る研究動向

清藤武暢、青野良範、四方順司

金融分野では、クラウド・サービス等によって業務をアウトソース化する動きが進んでいる。とりわけ、近年は、フィンテック(FinTech)企業がクラウド・サービスを通じて新しい金融サービスを提供する事例が注目を集めている。こうしたサービスでは、クラウド・サービス事業者やフィンテック企業によるデータへのアクセス等を適切に制御することが必要である。例えば、データを暗号化したまま効率的にクラウド・サービス等において取り扱うことができれば安全性の観点から望ましい。このようなニーズに対応する技術として、「高機能暗号」の研究開発が活発化している。高機能暗号に基づくクラウド・サービス等が提供されれば、金融機関はデータの安全性を確保しつつアウトソース化等を一段と進めることができると期待される。本稿では、公開鍵暗号型の高機能暗号に焦点を当てて、機能や安全性について説明する。そのうえで、金融機関の業務や新しい金融サービスに高機能暗号を適用するケースを想定し、それらの安全性や処理性能について考察する。

キーワード:クラウド・サービス、検索可能暗号、公開鍵暗号、高機能暗号、準同型暗号、属性ベース暗号、FinTech


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