本稿では、分散台帳技術を金融サービスに適用する際のセキュリティ要件を検討する。最初に、分散台帳技術を利用して金融サービス、特に、自行内口座振替をインターネット経由で処理するケースを想定し、モデル化を行う。次に、機密性、完全性、可用性にかかるセキュリティ要件を示し、こうした要件に沿って、セキュリティ評価を行う。その結果、分散台帳技術は、実装を適切に行うことによって、既存のインターネット・バンキングにおいて要求されるデータの機密性や完全性のレベルを概ね維持しつつ、データの可用性を高め得ることが示された。
キーワード:インターネット・バンキング、基幹系システム、口座振替処理、セキュリティ要件、ブロックチェーン、分散台帳技術
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