ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2009-J-22

わが国の量的緩和政策の経験:中央銀行バランスシートの規模と構成を巡る再検証

白塚重典

 本論文では、今次金融危機への主要国における政策対応を踏まえつつ、わが国における量的緩和政策の経験を再検討する。各国の中央銀行は、購入対象とする金融資産の範囲とその購入規模の面で、非正統的な政策手段を採用している。そうした非正統的手段の範囲が拡大するに連れ、米国連邦準備制度の政策対応は、信用緩和と呼ばれバランスシートの資産サイドをより重視していることが強調されている。これに対し、日本銀行が2001~06年にかけて採用した量的緩和政策では、バランスシートの負債サイドである当座預金残高に目標が設定された。しかしながら、中央銀行は、非正統的政策の遂行にあたって、その政策運営において直面する制約のもとで、バランスシートの規模と構成という2つの要素を組み合わせることにより、非正統的政策手段全体としての有効性を高めている点を理解することが重要である。

キーワード:量的緩和、信用緩和、非正統的金融政策、中央銀行バランスシート


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