ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2008-J-9

GARCH型モデルとRealized Volatilityを用いたTOPIX日次リターンの非線形性の検証

長倉大輔、渡部敏明

 金融資産のリターンは2次モーメントであるボラティリティが高い自己相関を持って変動しており、また株式市場のボラティリティは株価が上がった日の翌日よりも株価が下がった日の翌日の方がより上昇する傾向があることが知られている。本稿はTOPIXの日次リターンにこうしたボラティリティの変動以外にも過去の値との依存関係が存在するかどうか分析を行ったものである。先行研究ではボラティリティをGARCH型モデルによって推定しているが、本稿ではさらに日中リターンの2乗和として計算されるRealized Volatility (RV) も用いる。GARCH型モデルを用いた分析では、ボラティリティの自己相関と非対称性を考慮したGJR、EGARCHモデルを用いた場合に基準化したリターンに過去の値との有意な依存関係が観測されなかった。またRVを用いた分析では、RVの計算に1分ごとあるいは2分ごとのリターンを用い、かつ市場が閉まっている夜間と昼休みのリターンの2乗を加えなかった場合には基準化したリターンに過去の値との有意な依存関係が観測されなかった。これらの結果はTOPIXの日次リターンにはボラティリティの自己相関と非対称性以外に過去の値との依存関係は存在しないことを示唆している。

キーワード:BDS検定、CCK検定、GARCH、TOPIX、Realized Volatility


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