ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2007-J-22

信用VaRの債務者別分解とパラメータ感応度:条件付鞍点法によるVaR解析表現法の応用

菊池健太郎

 信用リスク計測技術の進展により、与信ポートフォリオ全体の信用リスク量を債務者別に分解することが可能となった。こうした技術は、与信の大口集中リスクの把握や、リスク配賦資本にかかるコストを加味した収益性評価に活用していくことができる。また、デフォルト率の変動やモデル・パラメータの調整に伴う信用リスクの変動を把握することもリスク管理実務上、重要になってくる。本稿では、与信ポートフォリオのバリュー・アット・リスク(VaR)に対する個別債務者のリスク寄与度を、条件付鞍点法と呼ばれる近似手法により解析的に表現し、その近似精度の検証を行った。また、デフォルト率などモデル・パラメータに対するVaR感応度の近似表現を導出し、デフォルト率に対する感応度を試算したほか、資本コストを加味した収益性評価や、追加与信がもたらす資本コスト増加の試算など各種の活用事例を示した。

キーワード:ファクター型信用リスクモデル、VaR、リスク寄与度、リスク感応度、条件付鞍点法、分割型条件付鞍点法、資本コスト控除後収益


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