住宅ローン債権担保証券のプライシングでは、裏付資産となる住宅ローン債権の期限前償還によりキャッシュフローが変動する可能性を考慮する必要がある。本稿では、まず、住宅ローン債権担保証券の商品性を概説し、期限前償還のリスクに焦点を当てて、住宅ローン債権担保証券の既存の評価手法を説明する。そのうえで、フォワード中立確率下での格子展開を用いた評価方法と簡便な解析的評価手法の2種類の新たな評価手法を提案する。さらに、これらの各種評価モデルを用いて算出される住宅ローン債権担保証券の価格やリスク指標の特性を考察する。
キーワード:MBS、プリペイメント・リスク、ハザード・モデル、スポットレート・モデル
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