ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2005-J-4

与信ポートフォリオの信用リスクの解析的な評価方法
― 極限損失分布およびグラニュラリティ調整を軸に ―

安藤美孝

 与信ポートフォリオの信用リスクの計量は、計算負荷の高いモンテカルロ・シミュレーションに頼ることが一般的であるが、近年、その近似的な解析表現を得る方法が幾つか提案されている。特に、極限損失分布およびグラニュラリティ調整を用いる方法は、幅広い水準のパラメータで精度の高い近似を与える有力な方法である。本稿では、多くの信用リスク計量モデルを含む一般的なモデルの枠組みで、同手法を用いた信用リスクの解析的な計算手法を解説する。また、実務での利用を前提に、1ファクターのマートン型モデルの枠組みでの信用リスクの具体的な近似解析表現を導出し、近似精度を数値検証する。さらに、マルチ・ファクター・モデルの枠組みでの信用リスクの評価、証券化商品の経済的資本の解析表現も解説する。

キーワード:信用リスク、与信ポートフォリオ、極限損失分布、グラニュラリティ調整、マートン型モデル、証券化商品


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