貨幣博物館 常設展示図録
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memo「円」とにちぎん 73日本初の円単位の紙幣。為換座三井組の名義で発行された。縦型の藩札の形式を引き継いでいる。新紙幣「明治通宝札」の低額面から高額面への変造が多発したことなどから発行された。横長、人物の肖像入りなど欧米の紙幣の形式を取り入れて日本国内でつくられた。1 Yen Convertible Treasury Note 1871年1881年紙幣統一のために発行された不換紙幣。当初はドイツで印刷した後に日本で「明治通宝」の文字などを補っており、ゲルマン紙幣ともよばれた。新紙幣 「明治通宝札」 一円紙幣1 Yen New Government Note改造紙幣 「神功皇后札」 一円紙幣1 Yen Renewed Government Note1872年「浪花名所之内川崎造幣局」「円」(圓)の由来には諸説あり、以下のような説が挙げられている。1.中国で西洋の円形銀貨を「銀円」「洋円」といっていたことが幕末に伝わり、金の単位「両」を「円」ということがあった2.貨幣の形状を円形に統一したため「円」紙幣をデザインしたイタリア人エドアルド・キヨッソーネEdoardo Chiossone, the Designer of Modern Japanese Paper Money「神功皇后札」の肖像はイタリア人彫刻家キヨッソーネが印刷局の日本人をモデルに肖像を彫った。キヨッソーネはこの後も最初の日本銀行券「大黒札」などのデザインを手がけた。一定額の金貨や銀貨など(正貨)との交換が保証された紙幣を「兌換紙幣」、金貨や銀貨などとの交換が保証されていない紙幣を「不換紙幣」という。と名付けた3.イギリス香港造幣局の機械を譲り受け、香港銀貨の名称「円」(圓)を採用した1868年、政府は大阪に新しい貨幣製造所を建設することを決め、イギリス香港造幣局で休止中の機械を購入するとともに、イギリスから技術者を招き、1870年から新貨幣を製造した。国立印刷局 お札と切手の博物館蔵大蔵省兌換証券 一円券◆兌換紙幣と不換紙幣円単位の政府紙幣大阪の造幣局「円」の起源

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