貨幣博物館 常設展示図録
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topicLifetime Expenditure64賭博性のある富は元禄期(1688〜1704年)以降たびたび禁じられた。ただし、寺社が修繕費をまかなうために寺社奉行の許可を得て行う富は、「御免富」とよばれて特別に許可され、江戸・京・大坂を中心として各地で行われた。 近世江戸時代の人が生まれてから60歳まで生きていくために必要な費用を見積もった内容が記されている。富(富くじ)は、多数の富札を販売し抽せんにより賞金が当たる賭け事の一種で、江戸時代に流行した。箱に番号札を入れ、 箱に開けた穴から錐■■で突き刺し(富突)、刺さった番号が当たりとなった。「万々両札のつき留」谷中感応寺目黒不動瀧泉寺「人間一生入用勘定」6歳から小遣いをもらい、10歳から14歳にかけて手習い(筆、硯、半紙など)にお金がかかり、15歳から酒を飲み始め、20歳ころに結婚、61歳で隠居。酒肴、たばこが全体の約3割を占めている。谷中感応寺(現・天王寺)、目黒不動瀧泉寺、湯島天神の3ヶ所は江戸三富とよばれ、有名であった。湯島天神富の様子富札一生にかかる費用一攫千金の夢―江戸時代の宝くじ「富」―人生とお金

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