金融研究 第38巻第1号 (2019年1月発行)

第19回情報セキュリティ・シンポジウム「量子コンピュータが金融サービスのセキュリティに与える影響」の模様

日本銀行金融研究所情報技術研究センター(Center for Information Technology Studies: CITECS)は、2018年3月1日、「量子コンピュータが金融サービスのセキュリティに与える影響」をテーマとして第19回情報セキュリティ・シンポジウムを開催した。
近年、量子コンピュータの研究開発が活発化している。量子コンピュータの処理性能が一定以上のレベルに達すると、現在主流の公開鍵暗号(RSA暗号等)を現実的な時間で解読できることが知られているほか、共通鍵暗号についてもそのセキュリティが低下しうることが指摘されている。米国連邦政府は、2030年頃までにそのような量子コンピュータが実現されうるとの見解を示し、2026年頃までに対策する計画を発表している。
こうした動向を踏まえると、金融業界においても2030年以降も使用するシステムに関して、量子コンピュータの脅威への対応の検討を始めることが望ましい。今回のシンポジウムでは、量子コンピュータの最新動向と金融サービスのセキュリティへの影響について、講演とパネル・ディスカッションを行った。情報セキュリティ技術にかかわる金融機関の実務者や官公庁関係者、暗号学者、システム開発・運用に携わる実務者や技術者等、約120名が参加した。本稿では、今回のシンポジウムを構成するキーノート・スピーチ、講演、パネル・ディスカッションの概要を紹介する。


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