金融研究 第35巻第4号 (2016年10月発行)

残余利益モデルによる個別企業の資本コスト・期待利益の同時推定

浅野 敬志、安達 哲也、奥田 達志

本稿では、評価日のクロスセクション・データから残余利益モデルに基づいて、資本コストを推定する統計的モデルを提示し、東証1部上場企業を対象(金融業は除く)に個別企業の資本コスト、期待利益成長率、および超過収益力継続期間を、疑似最尤推定法を用いて同時推定した。個別企業の資本コストの推定結果からは、資本コストの決定要因として、業種、キャッシュ・フロー利回り、配当利回り等の個別属性の統計的な有意性が高いことが明らかとなった。また、個別企業の資本コストの分布が各時点で異なっていることから、資本コストの推定において、市場平均的な資本コストの利用に加えて、個別企業の財務や市場の状況を勘案することの重要性が示された。さらに、個別企業の資本コストと株式期待リターンの関係についてクロスセクション分析を行った結果、両者の間に正の関係があること、その程度は資本コストを推定するための既存のモデルと比較しても大きいことが示された。

キーワード:インプライド資本コスト、残余利益モデル、疑似最尤推定法


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