金融研究 第35巻第3号 (2016年7月発行)

CVA における誤方向リスク・モデルの潮流

安達 哲也、末重 拓己、吉羽 要直

デリバティブ取引のエクスポージャーの増大と取引のカウンターパーティの信用水準の低下が同時に生じ、評価損が拡大するリスクを誤方向リスクと呼ぶ。2007~08年の金融危機においては、デリバティブ取引の信用評価調整(Credit Valuation Adjustment: CVA)で誤方向リスクが顕在化し、市場全体で巨額の評価損が発生しており、誤方向リスク管理は金融機関のリスク管理で重要課題となっている。特に、誤方向リスクをモデル化し、その保有ポートフォリオへの影響やコストを定量的に認識・把握することで、緊急時の対応性や経営効率を高めることが金融機関のリスク・経営管理で求められている。一方、誤方向リスクの顕在化は基本的に低頻度事象(レア・イベント)で、そのデータの入手が困難であり、モデルの妥当性を評価しにくいこともあって、まだ標準的なモデルは存在しない。こうした背景から本稿では、店頭デリバティブ取引のプライシングやリスク管理において学術研究や実務家から提案されている誤方向リスクのモデリング手法を概観して体系的に整理し、各手法の特徴を分析する。

キーワード:CVA、誤方向リスク、デフォルト強度、構造モデル、ジャンプ拡散過程、コピュラ


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