金融研究 第33巻第4号 (2014年10月発行)

第15回情報セキュリティ・シンポジウム
「多様化するリテール取引の安全性Ⅱ:
モバイル化、クラウド化を支える情報セキュリティ技術を中心に」の模様

日本銀行金融研究所は、2014年3月5日、「多様化するリテール取引の安全性Ⅱ:モバイル化、クラウド化を支える情報セキュリティ技術を中心に」をテーマとして、第15回情報セキュリティ・シンポジウムを開催した。
最近のリテール取引を見渡すと、ユーザあるいは加盟店におけるスマートフォン等を使ったモバイル決済サービスが一段と広がりをみせつつある。例えば、安価なカードリーダを接続したスマートフォンを決済端末として利用するサービス等が台頭し、その手軽さゆえに多くの関係者の注目を集めている。また、バンキングや情報管理ツール等の様々なアプリケーションは、スマートフォンやPC等の複数の端末を使い分けるユーザにも対応し、クラウドとの連携を深める傾向にある。こうした新しいサービスについては、従来とは異なる発想のビジネスモデルであることも多く、その安全性がどのように確保されているのかが分かり難い。他方で、学界の研究成果の中には実用性の高いものもあり、こうした成果を取り込むことで、さらに安全性を高めることが可能な場合もあると考えられる。
こうした問題意識に基づき、今回のシンポジウムでは、安全な取引処理を支える要素技術や応用技術として、①モバイルでの利便性を兼ね備えた本人認証として注目される「モバイル・バイオメトリクス」技術、②多要素認証の1要素として今後も利用されていく可能性があるパスワードの管理技術、③クラウドでの処理を安全に行うために有効な「暗号化状態処理技術」を取り上げ、各技術について専門家や当研究所スタッフによる講演が行われた。また、「モバイル決済技術の現状と課題」と題するパネル・ディスカッションも行った。
本稿では、本シンポジウムを構成するキーノート・スピーチ、3件の講演、パネル・ディスカッション、総括コメントの概要を紹介する。

キーワード:スマートフォン、クラウド、モバイル決済、スマホ決済、パスワード、生体認証、暗号化状態処理技術


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