金融研究 第30巻第4号 (2011年10月発行)

確率局所ボラティリティ・モデルのもとでのヘッジ戦略:
最尤経路を利用したバリア・オプションの静的ヘッジ

新原 祐喜

 本稿では、原資産価格とインプライド・ボラティリティの変動に関する各種モデルとヘッジ戦略について先行研究を整理し、オプションのリスク管理において、確率局所ボラティリティ・モデルが有用であることを示す。そのうえで、バリア・オプションを取り上げ、既存のヘッジ戦略における問題点を改善した効率的な静的ヘッジ戦略を提案する。具体的には、原資産価格が確率局所ボラティリティ・モデルに従うと仮定し、ヘッジ誤差のn次モーメントの近似式を最尤経路を中心とした鞍点近似によって導出する。この結果を用い、ヘッジ誤差の2乗平均の近似値を最小化することで、ヘッジ誤差への影響が大きいリスク・シナリオを中心にヘッジする。この手法では、既存の手法に比べて効率的にバリア・オプションをヘッジでき、比較的少数のバニラ・オプションでヘッジした場合でも、ヘッジ誤差を十分に抑制できる。本稿では、SABRモデルとリバース・ノックアウト・オプションを例にとり、この手法が既存の手法よりヘッジ誤差を小さくできることを数値的に検証する。

キーワード:確率局所ボラティリティ・モデル、SABR、ヒートカーネル展開、鞍点近似、バリア・オプション、静的ヘッジ、最尤経路


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2011 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム