金融研究 第30巻第1号 (2011年1月発行)

戦後復興期の金融仲介構造に関する一考察:
1949~52年度末の資金循環統計の推計

宇都宮 浄人

 戦後日本の金融システムの歴史的な形成過程に関しては、多くの先行研究があるが、戦後復興期における金融仲介の全体像が定量的に把握されているわけではない。本稿では、公表されている資金循環統計に接続できるように、1949~52年度末までのストックベースの資金循環統計を新たに推計して、議論の基礎となるデータを整備するとともに、戦後復興期の日本の金融仲介構造について前後の時代との比較を行う。この結果、戦後復興期の金融仲介構造は、個人の預金が銀行を通じて法人企業に貸し出されるという意味での間接金融が中心であり、1960年代初頭よりもそうした資金フローのシェアが高いこと、ただし、戦前に蓄積された金融資産が大きく目減りし、経済活動に占める金融仲介の規模が低下した時期であること、そうした中で、相対的に現金の役割が大きかったことが定量的に確認される。また、1949~52年度は、相対的に要求払預金から定期性預金へのシフトが起こり、部門別では個人預金から法人預金のシェアが高まるなど、それ以降の金融仲介構造の変化の起点となった時期であることも示される。戦後復興期に比べて高度成長期に法人企業の定期性預金のウエイトが高まったということは、高度成長期の法人企業への貸出の増加が歩積・両建預金に相当程度依存していたということを裏付けるもので、戦後復興期から高度成長期にかけて、間接金融の構造に変化があったことが示唆される。

キーワード:戦後復興期、金融仲介、間接金融、資金循環統計、金融資産負債残高表、個人金融資産


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