金融研究 第29巻第2号 (2010年4月発行)

わが国株式市場のモデルフリー・インプライド・ボラティリティ

杉原 慶彦

 ブラック=ショールズ式に基づいて算出されるインプライド・ボラティリティ(BSIV)は、ボラティリティ・スマイルとして知られるように、一般に権利行使価格ごとに異なる値として推計される。これに対し、特定のモデルを前提としないノンパラメトリックな手法により推定されるモデルフリー・インプライド・ボラティリティ(MFIV)を用いると、権利行使価格に依存しないかたちでボラティリティを求めることができる。このため、MFIVを使うことで、インプライド・ボラティリティの変動や期間構造(ボラティリティ・カーブ)の分析が容易になるとのメリットが期待できる。本稿では、MFIVの具体的な推定法を解説したうえで、実際に日経225株価指数オプションの取引データから日次のMFIVを推定し、ボラティリティおよび同カーブの変動を分析した。この結果、(1)MFIVの水準が高い時期にはその変動も大きい、(2)MFIVの水準が低い局面では順カーブ、高い局面では逆カーブになる傾向がある、(3)MFIVの水準は、過去1週間の原資産価格の実現変動率や欧米市場の前日のボラティリティに依存している、(4)短期のMFIVは、先行き半年程度のボラティリティ変動に対する予測力があるといった特徴が判明した。

キーワード:モデルフリー・インプライド・ボラティリティ、VIX、ボラティリティの期間構造


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2010 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム