金融研究 第27巻別冊第2号 (2008年11月発行)

コール市場の資金取引ネットワーク

今久保 圭、副島 豊

 コール市場の資金・決済の流れは近年大きく変化してきた。本稿では、ソーシャル・ネットワーク分析手法を活用し、日銀ネットの決済データを用いてコール市場の取引構造の検証を試みた。その結果、コール資金の流れは、短資会社がハブとして仲介役を果たすスター型ネットワークから、他のさまざまな経路が存在する分散型ネットワークに変化していることが確認された。分散型ネットワークにおいては、一部の業態から構成される中核的ネットワーク(コア)が形成されていること、コアの構成員はネットワークの周辺に対するハブになっており、これにより資金取引ネットワークのほとんどが平均2~3ステップでつながっていること、周辺には特定の集団でクラスター化した部分が存在するほか、コアに対するリンクが強い先、弱い先など、多様なネットワーク構造が存在することが観察された。こうしたネットワーク構造はシステミック・リスクの観点から重要である。流動性ショックがコール市場全体に伝播していく、あるいは逆に吸収されていく過程は、ネットワークの構造に強く依存すると考えられる。

キーワード:インターバンク市場、RTGS、ネットワーク、スモール・ワールド、コアと周辺、システミック・リスク


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