金融研究 第26巻法律特集号 (2007年12月発行)

買収防衛策の限界を巡って —ニッポン放送事件の法的検討—

田中 亘

 ライブドアによるニッポン放送の敵対的買収の試みに端を発する、ニッポン放送による新株予約権発行の差止請求事件(東京高決平成17年3月23日判例時報1899号56頁。以下「本決定」という。)については、これまで多くの論攷や評釈が書かれてきた。しかし、本決定の解釈に関しては、なお理解が統一されていない感があるし、また、本決定をどう評価するかについても、論じ切れていない面がいくつかあるように思われる。本稿は、本決定の意義と解釈について論じた後、主として買収手法の強圧性と本決定の評価について、および、取締役会は支配権維持・確保目的の新株等の発行をどこまで広く認められるべきかという問題について、私見を展開する。付論では、米国デラウェア州法およびその判例法理における買収防衛策のいくつかの審査基準について紹介し、そして、ニッポン放送事件に仮に同州法の法理が適用された場合にいかなる解決がなされるかについて検討し、最後に簡単な評価を述べる。

キーワード:敵対的買収、買収防衛策、主要目的ルール、権限分配秩序論、コーポレート・ガバナンス、第三者割当増資、ライツ・プラン


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