金融研究 第26巻別冊第1号 (2007年8月発行)

リテール・バンキング・システムのICカード対応に関する現状とその課題

田村 裕子、廣川 勝久

 磁気ストライプを貼付したキャッシュカードが偽造され、不正に預金が引き出される事件が社会問題化したことを受けて、わが国の金融機関では、キャッシュカードの偽造を未然に防止するためにICカード化を進めることを表明した。しかしながら、現時点ではICキャッシュカードの発行枚数は微々たるものにとどまっているのが実情であり、偽造カード犯罪の未然防止対策として有効に機能しているとはいえない。今後、ICカードの導入によりセキュリティの向上を進めていくうえでは、業界内でのATMオンライン提携を前提とすれば、業界が一丸となって推進することが望ましいと考えられる。ただし、ICカードへの移行のあり方によっては、システムの安全性が期待通りに向上しないケースがあることから、事前に金融業界内で十分な検討を行うことが必要と考えられる。
 本稿では、キャッシュカードとしてICカードを利用することによって、ATM等を利用したリテール・バンキング・システムの安全性がどのように向上するかについて整理するとともに、ICカードに対応したシステムへの移行のあり方について検討を行う。

キーワード:ICカード、リテール・バンキング・システム、カード所持者認証、ICカード認証、フルICカード対応


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2007 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム