金融研究 第26巻第3号 (2007年8月発行)

特集ワークショップ「将来の不確実事象をめぐる会計問題」の模様

 日本銀行金融研究所では、会計に関する研究の一環として、2007年3月9日、「将来の不確実事象をめぐる会計問題」をテーマにワークショップ(座長:黒川行治 慶應義塾大学商学部・大学院商学研究科教授)を開催した。
 将来の不確実な事象に伴って発生する経済的便益の流出・流入を、会計上、どのように認識し、測定すべきかという論点は、引当金や偶発負債の会計処理をめぐる議論を中心として、理論および会計基準設定の両面で大きな問題と考えられてきた。とくに、近年の企業会計に関する考え方の潮流(財務報告目的における投資家等への情報提供機能の重視、資産負債アプローチへの傾斜、資産負債の評価方法の見直し等)のなかで、この問題の重要性はさらに高まっている。本ワークショップは、こうした問題意識のもと、非金融負債(負債サイド)と担保(資産サイド)を題材に将来の不確実な事象をめぐる会計問題について議論し、それを通じて資本市場の重要なインフラである会計情報の提供のあり方に関する議論を深めることを目的に開催された。
 また、本ワークショップでは、会計学だけでなく、法律学や経済学のような関連諸分野を含めた幅広い観点からの分析・検討を行うという考え方に基づき、さまざまな専門領域の先生方の参加を得た。
 本稿では、本ワークショップにおける報告、指定討論者によるコメント、参加者による全体討論等の概要を紹介する。


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