金融研究 第25巻法律特集号 (2006年11月発行)

EUの金融機関国際倒産法制
—比較法学の観点から—

貝瀬 幸雄

 本研究は、「信用機関の再建および清算に関する2001年4月4日の欧州議会および閣僚理事会による指令」(以下、「銀行倒産指令」という。)の概要等を紹介し、ヨーロッパ国際銀行倒産法の構造を解明するものである。I.解説編では、銀行倒産指令の作成の背景、適用範囲、同指令が採用した倒産普及主義と倒産単一主義、倒産準拠法適用原則とその例外、債権者に対する通知と債権届出の各論点を、EU倒産規則と対比しつつ検討し、同指令を、預金保険指令等によって形成されている従来のヨーロッパ銀行法秩序と、「修正された倒産普及主義」を基調とするヨーロッパ国際倒産法秩序との調和をめざした苦心の作品であって、「全体として国際金融倒産モデル法を構想する際に参考となる規律に富む」と評価する。さらに、銀行倒産指令を内国法化したイギリス「2004年信用機関(再建および清算)規則」および2003年12月のドイツ「内国法化法」を概観する。結論においては、アメリカにおける国際銀行倒産法制とも比較したうえで、単にヨーロッパ域内でのローカルかつ技術的な立法と位置づけるのではなく、多様な設立本国の立法政策をどのようにEU内において具体化しているのかという比較法的な視点からの綿密な検討が必要であろうと指摘する。本研究のII.翻訳編は、銀行倒産指令の全訳である。

キーワード:国際銀行倒産法、銀行倒産指令、倒産普及主義


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