金融研究 第25巻別冊2号 (2006年10月発行)

強制転換条項付き優先株式の2項ツリー法によるプライシング

山田 健

 本稿では、普通株式への強制転換条項が付された優先株式(強制転換優先株)を対象に、その理論価格を求める(プライシング)ための1つの手法を示す。
 強制転換優先株は、一般的には、(1)予め定められた期間後に普通株に強制的に転換され、(2)強制的に普通株に転換されるまでは、保有者に一定の条件で普通株へ転換する権利が付与されている株式である。この意味で、強制転換優先株は、普通株を原資産とするオプションであり、そのオプションは、一定期間内の任意時点で転換可能であることから、アメリカン・オプションに分類される。また、普通株への転換条件は、転換時点までの普通株の価格水準に依存する条件となっており、その点から、強制転換優先株は経路依存性を持つ金融商品である。
 経路依存性を持つアメリカン・オプションの価格は、一般的には解析的に求めることができず、必ずしも、確立した評価手法がないのが現状である。また、強制転換優先株の価格評価に当たっては、発行体のデフォルトを考慮する必要もある。
 本稿では、発行体のデフォルトをジャンプ過程で表現したうえで、2項ツリー法を用いて、強制転換優先株の価格を算出する数値計算アルゴリズムを具体的に構成する。また、いくつかの数値計算例を基に、強制転換優先株の特性を考察する。

キーワード:強制転換優先株、経路依存性、アメリカン・オプション、 2項ツリー法、深さ優先探索


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