金融研究 第23巻別冊第2号 (2004年11月発行)

証券価格変動のモメンタム現象とリバーサル現象に関する考察:
行動ファイナンスの考え方の整理とそれに基づく定量分析

高橋典孝

 金融資産市場の市場価格変動を分析すると、短期的には正の自己相関(モメンタム現象)が、長期的には負の自己相関(リバーサル現象)がアノマリーとして観察されるといわれている。こうした現象の背景として、行動ファイナンスでは、それぞれ投資家の過小反応と過剰反応があると解釈する。
 本稿では、まず、行動ファイナンスの、モメンタム現象とリバーサル現象の解釈を整理したうえで、実際に日米の債券と株式の先物市場でモメンタム現象、リバーサル現象が生じているか否かを検討する。
 さらに、行動ファイナンスの先行研究(Barberis, Shleifer and Vishny[1998])の枠組みを、本邦債券先物価格の変動に応用し、投資家の先行きの相場変動に対する見方等を定量的に算出し、それらが、実際の投資家の相場変動に対する見方等をどの程度表現できるかを考察する。

キーワード:行動ファイナンス、モメンタム現象、リバーサル現象、過小反応、過剰反応、ブル・ベア指標


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2004 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム