金融研究 第23巻第4号 (2004年12月発行)

資産価格変動、構造調整と持続的経済成長:わが国の1980年代後半以降の経験

翁 邦雄、白塚 重典

 本稿では、1980年代後半以降のわが国の経験に基づいて、資産価格変動とそれに伴う構造調整が持続的成長に及ぼした含意を考察する。具体的には、わが国の経済低迷が、資産価格バブルの崩壊等による大規模な相対価格の変化に対する不完全な経済調整の帰結であるとの視点を提示する。この相対価格変動には、異時点間方向と横断面方向の2方向の変動が含まれ、かつ、2方向の変化の間には強い相互作用が存在する。この視点に立つと、わが国の資産価格バブルは、1990年代以降の構造調整という帰結をもたらし、日本銀行が金融政策を運営するうえで直面した特異な環境─安定した経済成長経路のもとでの標準的な経済安定化政策ではなく、持続的成長の基盤が損なわれたもとでの手探りの政策運営という環境─を作り出した。

キーワード:資産価格バブル、相対価格変動、構造調整、生産性向上


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2004 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム