金融研究 第23巻第3号 (2004年10月発行)

わが国直接投資と日本・東アジアの貿易構造の変化

小池良司

 本稿では、わが国から東アジアへの直接投資が貿易に与える影響とわが国を含む東アジア域内での貿易構造の変化について、グラビティ方程式に基づき、産業別・財別データを使って実証分析を行う。本稿の分析からは、直接投資の貿易への影響は産業ごとに異なっていることが明らかにされる。すなわち、情報関連財を中心に1990年代入り後、分業が急速に進展している電気機械では、直接投資の貿易に与えるプラス効果が1990年代に大きく上昇している。また、中間財を中心に緩やかに分業体制が深化している繊維では、直接投資の貿易に与える影響は、電気機械ほど大きくないがプラスである。これに対し、生産工程がわが国から東アジアに移管され、わが国の輸出が現地生産に代替されている輸送用機械では、直接投資が貿易に与える効果はほとんどない。

キーワード:直接投資、グラビティ方程式、貿易構造、垂直貿易、水平貿易、フラグメンテーション


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2004 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム