本稿は、多額の対外債務を抱える小国を念頭に、国際資本市場から加わるショックと、国内の財政政策運営が、対外債務残高の調整と貿易財・非貿易財間での国内生産資源配分に与える長期的な影響について理論的に検討する。いくつかのショックについての分析結果を示しているが、例えば、財政支出増加前後の長期均衡を比較すると、自由な国際資本市場のもとでも無限の資金供給は行われず、国内経済では海外資本流入量を与件として貿易財部門と非貿易財部門で活発な資源移動が必要となり、経済厚生も悪化する。
キーワード:対外債務、2部門経済モデル
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