金融研究 第21巻別冊第2号 (2002年10月発行)

わが国のレポ市場について
─理論的整理と実証分析─

稲村 保成、馬場 直彦

 レポ・レートの多くは、リスク・フリー・レートに近い水準でプライシングされる(GCレポ・レート)。しかし、担保となる債券銘柄によっては、GCレポ・レートよりも低い水準でレートが形成されることがある(SCレポ・レート)。このように、債券銘柄によってレポ・レート間に乖離が生じる理論的背景として、以下の点が明らかにされている。(1)レポ取引と現物債券の売買を組み合わせた裁定ポジションの収益がゼロになるようにレポ・スプレッド(GCレポ・レート−SCレポ・レート)と債券現物価格の均衡が達成される(無裁定条件の成立)。(2)その均衡水準はレポ市場における担保債券銘柄の需給動向に依存して決定される。(3)SC化した債券銘柄の現物価格には、将来マッチド・ブック(レポ・レート間の格差を利用した資金運用)を行った場合に期待される収益が反映される。
 本稿では、上記の点について実証分析を行い、新発10年国債、および長期債券先物の受渡適格最割安銘柄に関して、SC化した債券銘柄とそれ以外の債券銘柄の市場価格の差(現物価格プレミアム)とレポ・スプレッドの間には、理論が示唆するような裁定関係が存在することを明らかにした。

キーワード:レポ市場、国債市場、無裁定条件、レポ・スプレッド、現物価格プレミアム、新発債、チーペスト


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