金融研究 第21巻別冊第1号 (2002年6月発行)

商品流動性リスクの計量化に関する一考察(その2)
─内生的流動性リスクを考慮したストレス・テスト─

吉藤 茂、大嶽 文伸

 1997年10月のアジア通貨危機や1998年8月のロシア危機以来、商品流動性リスクがクローズ・アップされ、その計量化に向けさまざまな取り組みがなされている。本稿では、アジア通貨危機およびロシア危機発生時における実証分析から、リスク管理上のポイントを整理したうえで、ストレス・テストに焦点を絞った商品流動性リスク計量化手法を提案する。
 本稿での成果は、以下の2点である。(1)実証分析から、リスク管理上の留意すべきポイントとして、(i)ファット・テールな状況の顕現化、(ii)相関関係の崩壊(流動性危機の伝播および流動性への逃避現象)、(iii)保有期間長期化に伴い相場の変動性や相関関係の変化が大きくなることの3点を定量的に示した。(2)外生的流動性リスクに焦点を絞り、(i)ファット・テール調整、(ii)相関崩壊を組み込んだストレス・テスト手法を内生的流動性リスクにも対応可能なモデルへと拡張した。具体的には、各国株価指数先物市場の取引高データから市場ごとのマーケット・インパクト関数を導出し、同関数をファット・テール調整係数に組み込むことで内生的流動性リスクに対応した。

キーワード:外生的流動性リスク、内生的流動性リスク、ファット・テール調整係数、ハースト指数、相関崩壊、マーケット・インパクト


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