金融研究 第21巻第4号 (2002年12月発行)

新しい国際金融制度

アラン・H・メルツァー

 本稿では、金融機関に関する3つの関連した論点を取り上げる。第1に、いかなる国も単独では物価の安定と為替の安定を達成できない。米国、日本、欧州連合のような規模の大きな経済は、物価の安定という公共財を提供できる。これらの経済への固定相場制を採用することにより、すべての国が物価の安定と為替の安定を達成することが可能となる。一方、規模の大きな経済も、それ以外の国に対する為替の安定と、国内物価の安定の恩恵を受けるだろう。第2に、資本移動の規模の増大に対応するために、国際通貨基金は、指揮統制機関から、市場の安定性へのインセンティブを高めることを通して国際金融市場を安定させるために機能する機関に変えられるべきだ。第3に、最近のソブリン債務者の国際的破産手続、集団行動条項、そして債務返済の繰り延べに関する提案は、国際金融機関の改革が新たな注目を集めていることを示唆している。本稿では3つの提案を議論する。

キーワード:物価の安定と為替の安定、IMF の役割、債務問題の解決、集団行動条項


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