本稿では、金融機関のリスク資本を研究対象とした最近の理論成果を基に、金融機関が実務上一般的に採用しているリスク資本に関するフレームワークを考察した。その結果、資本配分はこのフレームワークの世界では理論的には必要ないこと、資本調達にデッドウエイト・コストと呼ばれるコストを導入すると、実務で行われているように資本配分が必要となることを指摘した。また、リスク調整後収益率で投資機会の収益性を評価することは、現在価値で評価することと同値であり、追加的な意味はないことも論じた。さらに、資本配分の必要性がある場合、その配分方法の決め方には根本的な難しさがあることも指摘した。
キーワード:リスク資本、リスク管理、資本構成、資本計画、リスク調整後収益率、資本配分、デッドウエイト・コスト
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