金融研究 第21巻第2号 (2002年6月発行)

戦間期日本の為替レート変動と輸出
─1930年代前半の為替レート急落の影響を中心に─

畑瀬真理子

 本稿では、1930年代の景気回復の牽引役になったとされる輸出に焦点を当て、輸出回復の背景および為替レート低下が輸出増加に果たした役割について考察する。1930年代の輸出回復過程を仔細にみると、時期によって輸出の主力品目や輸出仕向け地が異なっている。本稿はこの点に着目し、為替レート下落による輸出財相対価格低下の輸出促進効果について、産業部門、輸出仕向け地、時期別にみた相違点を検証する。具体的には、生糸、綿布、重化学工業製品という当時の代表的な輸出産品の仕向け地として米国、インド、朝鮮を選び、各仕向け地別に為替レートや各地域の所得要因等による回帰分析を行う。その結果、輸出に影響を与えた要因が仕向け地別にみて大きく異なっていた可能性が示される。

キーワード:為替レート、輸出、金輸出再禁止、戦間期経済


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