金融研究 第21巻第2号 (2002年6月発行)

戦間期日本における地価変動と銀行貸出の関係について
─「不動産金融問題」の銀行部門に及ぼした影響─

南條 隆

 本稿では、戦間期日本における資産価格と実体経済の変動について事実関係を整理したうえで、1つの論点として地価と銀行貸出の関係を中心に検討する。戦間期の地価と銀行貸出は、不動産担保貸付を通じて結び付いており、1920年代から1930年代初めに「不動産金融問題」が顕在化した際に、地価下落が銀行貸出に影響を及ぼした可能性が考えられる。その経路としては、借り手が保有する不動産の担保価値低下を通じるものと、銀行部門の自己資本が毀損されリスクテイク機能が低下するものとが考えられる。地価変動と普通・貯蓄銀行貸付増減はほぼ同様な動きをしており、道府県別のパネルデータを含む回帰分析によれば、両者の有意な関係が示唆された。また、銀行部門の自己資本の状況に関して、日本勧業銀行のデータを基に、普通・貯蓄銀行の不動産担保貸付が地価下落により被った損失の大きさについて若干の考察を行った。

キーワード:戦間期経済、金融恐慌、昭和恐慌、資産価格、金融システムの安定性


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