金融研究 第19巻第3号 (2000年9月発行)

フォワード・ルッキング・モデルによるわが国金融政策の分析

鎌田 康一郎、武藤 一郎

 従来の計量モデルは、人々の期待が現在や過去の情報から形成されるというアド・ホックな仮定に依拠していた。これに対し、本稿で紹介するフォワード・ルッキング・モデルは、人々が将来新たに発生するイベントを合理的に予測し、これをもとに現在の経済活動を決定するという計量モデルである。フォワード・ルッキング・モデルでは、金融政策をルールとして組み込むことによって、経済の先行きに対する民間主体の期待と政策とのダイナミックな相互作用を分析することができる。また、さまざまな政策ルールの長所と短所をシミュレーションによって明らかにすることができる。本稿では、長期金利が「金利の期間構造」に沿って合理的に形成されるフォワード・ルッキング・モデルを構築し、金融政策ルールの変更が経済安定化に与える影響を分析する。さらに、GDPギャップの分散とインフレ率の分散の間に存在するトレード・オフをシミュレーションによって導出し、わが国の金融政策を効率性の観点から評価する。補論では、名目金利のゼロ%制約が経済の安定性にもたらす影響を考察する。

キーワード:フォワード・ルッキング・モデル、金融政策、低インフレ、テイラー・ルール、金利のゼロ%制約


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