金融研究 第19巻第2号 (2000年6月発行)

基調的なインフレ率とフィリップス曲線

三尾 仁志

 フィリップス曲線推計の定式化には、1970年代以降、供給ショックと期待インフレ率という2つの重要なシフトパラメータが追加された。本稿では、フィリップス曲線推計において、これまで独立して扱われてきた供給ショックと期待インフレ率のコントロールを、統一して扱う必要性を実証的な観点から示す。具体的には、大幅な相対価格変動を経験した品目をそのつど物価指数から控除する「刈り込み平均(trimmed mean)指数」を利用して供給ショックの影響をコントロールし、同時にこれを期待インフレ率の代理変数として用いると、サンプル期間の変更に対するパラメータ推定値の安定性や、予測パフォーマンスが大幅に改善することが明らかにされる。こうした本稿の分析結果は、①供給ショックが多様な品目で生じるため、そのマクロ的な影響をコントロールする際には、従来のように品目バスケットを固定することが望ましくないこと、②期待インフレ率は、品目レベルで生じる供給ショックの影響を適切に控除した基調的なインフレ率に対して反応していることを示している。

キーワード:フィリップス曲線、供給ショック、刈り込み平均指数


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