金融研究 第19巻第1号  (2000年3月発行)

物価指数の計測誤差と品質調整手法:わが国CPI からの教訓

白塚 重典

 本稿では、消費者物価指数(CPI)の抱える品質変化・新製品バイアスについて、主としてわが国CPIを題材として検討する。CPIは物価変動を捕捉するための指標として広く利用されている。しかしながら、先進諸国では、CPIが真の生計費の変動を過大評価しているとのコンセンサスが形成されつつある。こうしたCPIの上方バイアスは、相対価格の変動に対する消費者行動の変化、新製品の登場・旧製品の消滅といったダイナミックな経済活動を十分に反映していないことから生じている。CPIの上方バイアスは、物価安定を重要な責務の1つとする金融政策当局者にとって直接的な含意を有している。さらに、より精度の高い物価の捕捉は、インフレのみならず、実質産出量や生産性の計測等、経済活動を理解するうえでもきわめて重要である。こうした問題意識に留意しつつ、本稿では、CPI計測誤差の源泉および品質調整手法の問題について整理する。そのうえで、ヘドニック・アプローチ(価格と品質の関係を当該製品のさまざまな特質を価格に回帰させることにより分析する手法)の基本的な分析枠組みを説明するとともに、同アプローチを導入することにより品質調整の精度を向上させるための実務的な手法を提案する。

キーワード:消費者物価指数、計測誤差、上方バイアス、品質調整手法、品質変化/新製品バイアス、ヘドニック・アプローチ


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