金融研究 第18巻第1号 (1999年3月発行)

第2回中央銀行共催リサーチコンファレンスの概要 ─ Risk Measurement and Systemic Risk ─

 リスク計測とシステミックリスクに関する第2回中央銀行共催リサーチコンファレンスが、1998年11月16、17日の両日、日本銀行において開催された。このコンファレンスは、BIS、イングランド銀行、ニューヨーク連銀、および米国連邦準備制度理事会が共催し本行がホスト役を務めた(第1回コンファレンスは1995年にワシントンで開催)。
 各国中央銀行は、これまで金融システムの安定維持のため、ストレス下における金融システムの安定性と市場メカニズムに関する研究を継続してきており、コンファレンスでは、そうした研究成果を集約するとともに、中央銀行・学者・実務家が一堂に会して意見交換を行うことを通じ、システミックリスクに関する今後の研究課題、実務的検討課題、政策課題への長期的含意を得ることを目的とした。コンファレンスでは、システムの崩壊と伝播の源泉、決済システムが抱えるリスク、市場の挙動に関する実証研究、マーケット・マイクロストラクチャーと市場の安定性、リスク管理に関する新たなアプローチ、システミックリスクと中央銀行という6つのテーマごとにセッションが設けられ、合計22本の論文の報告を踏まえた活発な議論が行われた。また、最後のセッションでは、2日間の議論を総括するパネルディスカッションが行われた。
 コンファレンスでは、最近の国際金融市場における危機の経験を背景に、システミックリスク顕現化の鍵となる伝播のメカニズムや、中央銀行の最後の貸手機能および市場参加者のリスク情報の高度化等を含めたシステムデザインのあり方について、今後の研究課題とともに、リスク管理実務、中央銀行の政策運営上有益な視点が提起された。本稿では、コンファレンスにおいて行われた議論の概要をとりまとめている。


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