金融研究 第17巻第6号 (1998年12月発行)

負債のオフバランス化の条件について
— デット・アサンプションを中心に —

古市峰子

 負債の会計的取り扱い次第で企業のリスク評価や財務構造が左右される度合いが高まる中で、負債のオフバランス化(認識中止)に関する問題がクローズアップされている。その中でも、デット・アサンプションのように、債務が履行されたのと同等の経済的効果があると考えて負債のオフバランス化を認めていた取引につき、法的側面から見れば負債は消滅していないことから、そうした会計処理が妥当かが問題となっている。
 日本では、そもそも負債のオフバランス化の条件に関する一般的な会計基準は存在せず、デット・アサンプションについても、これまでは87年に日本公認会計士協会から出された実務指針を根拠に負債のオフバランス処理がなされてきた。しかしながら、諸外国における会計基準や議論を見ると、経済的実態から負債は消滅していると捉え負債のオフバランス処理を認めていたこれまでの立場から、法的側面をより重視したオフバランス化を行う方向に移行している。これは、法的に債務が消滅していない以上、将来、債務の履行を請求される可能性は完全には消滅してないという点を重視するものである。
 日本でも、こうした取引の会計処理を明確にし、企業間における財務状況の比較可能性を高める上でも、負債のオフバランス化条件に関する一般的基準を作成することは喫緊の課題であろう。その際には、諸外国における会計基準の動向にも十分配慮し、法的に債務が消滅した場合、または、当該負債につき法的に第一次的義務者でなくなった場合に限り、負債のオフバランス化が認められるとの立場が妥当なように考えられる。

キーワード:デット・アサンプション、負債、オフバランス化、認識中止


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