金融研究 第17巻第6号 (1998年12月発行)

世代会計の国際比較

アラン・J・アゥアバック、ローレンス・J・コトリコフ、ウィリー・リーブフリッツ

 政策決定者は財政赤字と政府債務を第一義の財政指標として採用している。財政赤字の削減は近い将来の政府債務対GDP比を安定させるかもしれないが、世代間均衡——今日および明日の子供たちが生涯勤労所得に占める純税負担が同等である状況——達成のための財政的に持続可能な政策にはならない。実際、多くの国では世代間均衡よりむしろ予算均衡に焦点を当てており、世代間均衡達成のための努力があまりにも不足しているように見受けられる。このままでは長期的な財政状況を悪化させるばかりである。また短期的な微調整も本格的な調整を延期させるだけである。財政の持続可能性と世代間均衡を回復するために駆使し得る政策の選択肢は広い。しかし本稿で検討した17か国のほとんどには、どのような治療薬を処方しようと、不快感は残るだろう。その症状は各国によって大きく異なり、最適な財政政策の組み合わせも国によって異なる。各国の対応は異なるかもしれないが、大規模な世代間不均衡を抱えるすべての国は即時行動に移す必要がある。世代会計の基本的メッセージは、政府財政支出の負担者はゼロサム・ゲームを行っているということである。現存世代の人々が支払う額が少なければ、将来世代の人々の支払いは多くなる。直ちに取りかからなければ状況を悪化させるだけでなく、社会の一人ひとりに長期的な財政問題が究極的にどのように解決され得るのだろうかといった点に関して不安感を与えてしまうことになるだろう。

キーワード:世代会計、財政赤字、政府債務、高齢化


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