金融研究 第15巻第5号 (1996年12月発行)

証券化におけるオフバランス化の問題
─ 金融資産の認識中止の条件について ─

福澤 恵二

 証券化の目的のひとつに、保有する金融資産のオフバランス化(一旦計上した資産の認識中止)がある。ただし、証券化における資産譲渡の場合、単純な売買と異なり、資産の譲渡後も、譲渡人が当該資産に対してリコース義務(原債務者の債務不履行等の場合に、債務者が本来支払うべき金額を支払う義務)といったリスクを引き続き留保することがある。このため、こうしたリスクの留保がある場合に金融資産の認識中止を認めるべきかどうかという問題に関して、各国の会計基準における考え方には相違がみられる。つまり、譲渡資産に関連するリスクが留保されている場合には、当該資産の認識を中止すべきでないという考え方と、リスクが留保されていても、経済的便益(将来的なキャッシュインフロー)が他に移転したのであれば認識を中止すべきであるという考え方である。こうした中、米国において、1996年6月に金融資産の譲渡に関する包括的な会計基準が出された。その内容は、金融資産が複数の構成要素に分解できることを前提に、基本的にリスクの留保を資産認識中止の制約としない「金融構成要素アプローチ」に立つものである。金融手法の発達により、金融資産がその構成要素へとさらに分解され、リスクが独立して取り扱われている現状を考えると、会計上もリスクを独立して取り扱うのが整合的である。つまり、資産の定義の核である経済的便益に着目して資産認識中止の判断を行い、負担しているリスクはリスクとして別途適切に表示する方向が検討されるべきである。


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