金融研究 第15巻第1号 (1996年3月発行)

貨幣博物館十周年記念金融研究会
II.報告論文
貨幣学(Numismatics)の歴史と今後の発展可能性について

大久保保隆、鹿野嘉昭

 本論文は、貨幣博物館開設10周年を記念して1995年12月に開催された金融研究会での報告論文である。この報告論文においては、日本における貨幣の変遷とその特徴および、当研究所での研究成果を簡単に振り返った後、今後のありうべき貨幣研究の方向が検討された。
 すなわち、本論文では、今後の貨幣研究を遂行していくうえでのありうべきアプローチが(1)貨幣の収集、分類、整理、(2)貨幣の法制史的研究、(3)貨幣の動態史あるいは生活史的分析、(4)出土銭の分析、(5)貨幣史の経済理論的分析、(6)理化学的分析、の6つに分類・整理されるとともに、一般民衆による日常決済手段としての貨幣についての流通・文化史的な観点からの分析の重要性が指摘された。次いで、金融研究所としては、当面の間、貨幣の素材分析、江戸時代における貨幣制度のあり方と機能に関する研究、貨幣史のマクロ経済学的な観点からの研究、などを中心として貨幣研究に取り組んでいきたいとの表明があった。

キーワード:貨幣の鋳造、山田羽書、非破壊分析、Numismatics


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