ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2018-J-7

量子コンピュータの脅威を考慮した高機能暗号:格子問題に基づく準同型暗号とその応用

四方順司

近年、量子コンピュータの研究開発が進展する中、この技術を利用者もしくは攻撃者が利用できる環境において、情報セキュリティの安全性が確保されることが求められている。こうした観点から、現代のコンピュータに対してだけでなく、量子コンピュータに対しても安全性を有する暗号技術の研究開発が活発化している。その一方で、暗号化や認証といった基本的機能を拡張し、さらに高度な機能をもった暗号技術、例えば、暗号化したままさまざまな情報処理を可能とするような高機能暗号の研究開発が活発化している。高機能暗号は、クラウド計算、ビッグデータ分析、IoT(Internet-of-Things)等のセキュリティと親和性のある暗号技術として期待できる。本稿では、こうした暗号技術を取り巻く研究開発動向を踏まえ、量子コンピュータの影響を考慮した高機能暗号、とりわけ、格子問題に基づく完全準同型暗号とその応用に関して解説する。

キーワード:完全準同型暗号、高機能暗号、格子問題、耐量子計算機暗号、量子コンピュータ


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