ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2017-J-18

マイナス金利を考慮したフォワードレート・モデルと市場の金利見通し

菅沼健司、山田哲也

近年、先進国を中心とした低金利環境、とりわけマイナス金利政策の導入に伴い、金融実務においてもマイナス金利を考慮したフォワードレート・モデルが提案されている。本研究では、こうした一連のモデル群の特徴を整理するとともに、金利オプションのデータにフィットさせることで、マイナス金利政策、イールドカーブ・コントロール政策、指値オペといったイベントの前後で、投資家が予測する金利の将来分布がどのように変化したかを分析する。その結果、日本では、マイナス金利政策が導入される半年前からマイナス金利が意識され始めていたこと、マイナス金利政策導入後も、Brexit直後の政策決定会合を含め複数にわたり追加緩和期待が確認されたこと、イールドカーブ・コントロール政策導入後は、先行き1~2年程度にわたって投資家による金利水準に対する見方のばらつきが一定水準の近辺に収斂するなどの現象が観測されたこと等がわかった。加えて、トランプ・ショック後の指値オペでは、一時的に増幅した先行きの金利上昇観測をある程度牽制していたことも確認された。

キーワード:マイナス金利、イールドカーブ・コントロール、インプライド分布、Shifted SABR、Free boundary SABR


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